学校図書館げんきプロジェクト

 読売新聞2012.2.21に「被災校「本たりない」」が掲載されました。仮校舎で運営されている被災した学校は、学校図書館(図書室)を整備する余裕がなく、全国から寄贈された本はあるものの、内容が偏っていることもあり、十分ではないということです。特に「学習用の本」が不足していて、全国学校図書館協議会に「放射能の影響で室内の読書の時間を設けたが、図書が足りない。」「図書館施設は無事だったが、被災による雨漏りで蔵書に被害が出てきた。」「図書費の予算化が遅れ、図書を購入できない」などといった要望が寄せられているようです。

Yomiuri_Honga_Tarinai

 そこで、これまでの経緯・経験を踏まえて、社団法人全国学校図書館協議会は、活字文化推進会議、公益財団法人文字・活字文化推進機構と連携しながら、東日本大震災により甚大な災害に見舞われた岩手県・宮城県・福島県の学校図書館の復興を支援する「学校図書館げんきプロジェクト」を発足させました(2011年12月)。

Gakko_Toshokan_Project

 プロジェクトの基本は、(1)東日本大震災による被災地の学校図書館の復興を支援するための寄付金を募り、(2)その寄付金で学校が希望する新しい図書を学校の地元の書店を通じて購入・寄贈を行う、というもの。単に寄付金を集めるのではなく、地域の経済活性化にも配慮するといういう視点から、被災地の書店に「本=物品」を注文・購入し、その本をそのまま被災地の学校図書館へ寄贈するという、地産地消的な支援を行う「仕組み」に特徴があります。
 地域の産業を復興させていくために、様々な「ファンド」が立ち上がり、それを媒介に現地の企業が運営資金を確保していく(その資金が「いま」を凌ぐための大切な資金となる)という仕組みがマスメディア等でよく紹介されていますが、「出版・本・書店・学校図書館」といったキーワードで語られるような同様の仕組みはこれまで無かったように思います。
 その意味では、このプロジェクトは非常に大きく、今後も大切にしていくべき「仕掛け」です。あくせす・ぽいんとは、大きな活動グループではありませんので、寄付金を集めることは現時点では考えておりませんが、このプロジェクトそのものについては、「勝手に応援団」にならせていただきたいと思います。(^_^;)。

 文化的で必要最低限の生活を送るためには、ベースに衣・食・住、そして医療健康、心のケア、就職…が最も大切で、そのための支援は、多くのNGO、NPO等が行なってきましたし、これからも続けられていくでしょう。
 また漸くではありますが、復興特区の設置で「企業誘致の推進=現地での雇用促進」を促す政策も現実味を帯びてきており、僅かであるかもしれませんが「光」が見えてきているようにも思われます。その中で、同時並行的に「未来をつくるための教育分野に支援し続けること」もまた大切な支援ではあるはずです。
 被災直後は、本など全く無用の長物でしたが、幾分落ち着いてくると、私たちは、自然発生的に「学ぶ」「知る」「考える」「楽しむ」ための手段を求めたくなります。「人はパンのみにて生きるにあらず」だからです。本は、それら手段の主要なものとして、いつでも・どこにでも・だれにでも利用できる存在です。電気がなくても「自由」に活用できる存在なのです。
 あくせす・ぽいんとは、資金がありませんので(^^ゞ、「
学校図書館げんきプロジェクト」のように新しい本を購入できませんが、全国の皆様がお持ちの「子どもたちのための本」(活字本)を預かって、被災地の学校図書館へ贈るプロジェクトは、2012年度も続けていきたいと思います。拝

 繰り返しで恐縮ですが、寄付金のご希望の方は、社団法人全国学校図書館協議会の「
学校図書館げんきプロジェクト」にぜひぜひご支援くださいませ。拝

(≧□≦)人(≧∀≦)人(≧▽≦)人。

文集「お父さんのかお」

 親をなくした子どもたちを支援する「あしなが育英会」。あくせす・ぽいんとのメンバーの方も支援メンバーとして登録されています\(^o^)/が、先般、東日本大震災に関連した活動について、プレスリリースがありました(平成24年2月22日)。
 内容は、東日本大震災の遺児の作文をまとめた文集を制作し、全国の学校や図書館に無料で配布するという活動報告で、震災遺児の現況を広く周知するため、また震災遺児の支援拠点「レインボーハウス」の建設のための募金協力の呼びかけのために作られたそうです(日本経済新聞:2012.2.22夕刊)。因みに、あしなが育英会が把握しているだけで震災遺児は2000人超。


Ashinaga_2012-02-22
引用:時事ドットコム

Kahoku_Shipo_Bunshuu_2012-02-24 at 8.27.57
引用:河北新報

書評を書いてみました。

 「こども」つながりで、先般、『ルポ子どもの無縁社会』を拝読させて頂きました。図書館は、常に社会問題に向き合い続けることが求められると思っているのですが、その前提として、支援させていただくその対象がどのような状況にあるのかという「現状分析」は必要不可欠です。その一側面に、「未来を創る子どもたちが直面「させられている」問題」というのがあり、本書は、その文脈を適切にレポートしております。
 あくせす・ぽいんとでも取り組みたい問題でもあり、メンバーの皆さんと議論をしたいと考えていますが、議論のためのベースにすべく、また、広く読まれるべき本であることを宣伝すべく、勝手ながら、書評を書いてみました。(^_^;)。

Kodomo_Muen


----------------------------------------------------
石川結貴『ルポ子どもの無縁社会』東京, 中央公論新社, 2011, 238p.(中公新書ラクレ407)

 平成12年11月20日に施行された「児童虐待の防止等に関する法律(平成12年5月24日法律第82号公布)」は、平成16年4月14日、平成19年6月1日の2度にわたる改正を経て、現在に至っている。その趣旨は、継続的に続く児童虐待事件を防止し、関連施策を整備・強化することにあったが、未だに「子ども虐待の早期発見」が難しく、「子どもの保護・自立に向けた支援」も十分ではないのが現状である。
 厚生労働省のHPにも、「児童虐待による死亡例等の検証」と称して、厚生労働省内での「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会(第1次〜7次)」による検証報告と共に、平成20年度から23年にかけて、地方自治体による報告書を掲載しており、「虐待死」事例を無くすまでには至っていないは明らかである。
 本書『ルポ子どもの無縁社会』は、1988年7月に発覚した東京都豊島区の児童虐待事件を冒頭に、(1)住民票を残したまま1年以上所在不明になる「居所不明児童生徒」の現状や、(2)児童相談所における活動、(3)遺棄児童や置き去り児童の状況等を、過去の統計データや、ジャーナリストとしての取材を通じて議論を展開する。また、児童虐待が生じてしまう社会背景に、(4)ネット社会における人間関係や、(5)核家族化および無縁社会へと突き進んでいく現代社会の有り様があることを指摘し、子供たちの「居場所」をいかに作っていくかについての問題群を提起している。
 本書の目次に見られる“現代の捨て子”“餓死した男児の名前は「知らない」”といった言葉を見るだけでも心が痛み、“1183人の「居所不明児童生徒」”が生まれている教育現場が、今の日本社会の暗い側面としてあることを、本書を読むことで我々は再認識させられるだろう。社会構成員たる「大人」は、この課題についてどう取り組んでいくべきか。
 厚生労働省「第7次児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」は、“平成21年4月1日から平成22年3月31日までの間の事例について分析・検証を行うとともに、平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に地方公共団体で検証が行われた事例”などについて”、具体的な改善策を提言した。(『子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について第7次報告』)。
 それによると、地方公共団体に対しては、(1)妊娠・出産期を含めた早期からの相談・支援体制を整備すること、(2)予防のための子育て支援体制および児童相談所の体制を充実させること、(3)関係機関の連携を推進することを、国に対しては、(1)望まない妊娠について相談する体制を充実させること、(2)通告義務・通告先等について広報・啓発の一層の充実化、(3)養育者への効果的な指導法についての知見を収集し、それに基づいた指導に関する技法を開発することを求めている。
 しかしながら一方で、年々、児童相談所および市町村における児童虐待に関する相談対応件数は増加しており、児童相談所や市町村ほか関係機関が関与していたにも関わらず死亡に至った事例は無くなってはいない。なぜだろうか。その理由はどこにあるのか。
 本書は、そのような社会政策面での知見を提供するだけでなく、教育、地域文化、虐待をしてしまう人間の心理などをも考える上でのデータとして活用できる本である。2011.3.11東日本大震災を取り上げるまでもなく、日本社会における「絆」を再構築するために、ぜひ一読をお薦めする。
----------------------------------------------------

※上記「書評」は、「関大・インターデパートメント論集5」(2012,p.77-79)にも掲載されました。

いわてを走る移動図書館プロジェクト

 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が主催する「いわてを走る移動図書館プロジェクト」。岩手県遠野市に拠点を置き、岩手県陸前高田市、大船渡市三陸町、大槌町、山田町で活躍している大きなプロジェクトです。もともとは、東日本大震災当初より大規模な活動を展開する「3.11絵本プロジェクトいわて」と連携しながら、大槌町教育委員会と共催という形で活動しているようです。後援も、社団法人日本図書館協会、岩手県立図書館、陸前高田市教育委員会、大船渡市、大船渡市教育委員会、山田町教育委員会など、しっかりとした組織で、「あくせす・ぽいんと」とは異なり(^_^;)、本当に多くの人々の支援が入っていることを実感します。
 これだけの大きな組織と人の手が入れば、「もう大丈夫なのかな」と思ってしまいますが、でも、それはあくまでも一地域のことで、翻ってみれば、福島県の状況は全く改善していませんし、産業復興もまだまだ途上ですよね。長い支援がやっぱり必要ではないでしょうか。その長い支援の中では、どのような組織であっても、支援しきれない部分はかならず出るのではないかと思います。そんな「ニッチ」的なニーズを拾い出し、支援し続けていく…。それが、小さな団体こそができる支援のあり方かもしれません。そんな思いで「支援し続ければいい…」、とあくせす・ぽいんとは思うのでした。\(^o^)/


動図書館プロジェクト2

子どもの学び支援ポータルサイト

 あくせす・ぽいんとも遅ればせながら、文部科学省がメディエイターをしている「東日本大震災:子どもの学び支援ポータルサイト」に登録させて頂きました。「支援要請」の内容を概観すれば(2012.2.17現在)、備品やボランティア作業のためのマンパワー、学用品の要望が殆どであり、まずは、学校運営のための最低限の「モノ」が必要であることがわかります。その意味では、教育ソフトとしての「資料」の要望はこれからなのでしょうか…(^_^;)。
 個人の意見ですが、学校図書館(学校図書室)では、PCもなく、貸出返却業務も印刷カードに「貸出印」を押す方式で運用しているところが多く、その活自動自体も、教員の「兼担」もしくはPTAのメンバーの「ボランティア力」に依存していると思います(一部分しか見ていないかもしれません。m(__)m)。
 そんな環境下にある学校図書館ですから、東日本大震災の状況如何に関わらず、図書資料の数も非常に少ないはずですが、「
東日本大震災:子どもの学び支援ポータルサイト」に図書館資料の寄贈の要望はほとんどありません。過去、多くのNGO、NPOが支援していたり、出版界より新規の図書が(教育委員会を通して)寄贈されたりしていたこともあり、もう必要とされていないのかな…と思ったりもしますが、これまでの学校図書館の歴史と、現在の学校数を考えると、まだまだできそうな気がしていることも、また事実です。(^O^)。

 いずれにしても、今は、あくせす・ぽいんとは、現在の資料を寄贈する活動をじっくり続けていきます。それと、別途、学校図書館の環境整備を充実させるために、PCの寄贈制度を考えてみたり、データ入力のボランティア活動について、遠隔地(本拠地である大阪関西大学にて)からどのように支援できるかを、学校図書館側からのニーズを収集する方法論と共に、メンバーの皆さんと考えてみます。。。φ(^_^)。

東北地方の学校図書館関係者の皆様、ご連絡お待ちしております。
\(^o^)/

 ちなみに、東北各地の教育委員会は、学校図書館を復興させていくために、どのような意向をもっているのでしょうか。あくせす・ぽいんとのような小さな団体には、そのような情報は「自然に」降りてくるものではありませんが、非常に気になっているところです。学校同士の連携や、現地のボランティア活動が、マスメディア等で数多く紹介されていますが、どこに・どれだけ・どのような活動が入っているのか、そのあたりも知りたいところです。その状況によって、ボランティア活動の内容を精緻化することもできますから…。(^^)v

Monkasho_Manabi_Shien


manabishien.mext.go.jp


 学校教育現場における「朝の10分間読書運動」は、自然に全国に広がっていきました。学校図書館とその活用法も「教育」をサポートするための必要条件となり、教育カリキュラムの中に自然と存在するような位置づけにならないかなとあくせす・ぽいんとは願っています〜(^O^)。

We love School Library!!!

震災11ヶ月:ボランティア現況

 日本経済新聞朝刊(2012.2.11:建国記念日)にボランティアが減少の一途をたどっている旨の記事が慶されました。ボランティアのエンジンにあたる学生も就職活動で多忙になったり、寒波の影響で足が遠のいていることが原因らしいです。
 記事で気になった記述は、次の文章でした。

「日本財団学生ボランティアセンターを通じた参加者は、昨年6月には300人いたが今年1月はわずか15人。3年生が就職活動を本格化させたことが影響しているとみられ、企業訪問が解禁となった12月は65人と前月から半減した。また、ボランティアを送り出す団体が資金難となり年末を活動終了のメドとしたことや、得意とする支援活動を持たない人は再訪しない傾向があることも背景にある。」


 「活動自体を続けることの難しさ」です。ボランティア活動が持続的に実施されるためには、個々人の「風化させない」という思いが持ち続けられるかどうかにかかっていますが、その意識を持続させるための方法論が非常に難しいのですよね。キャンペーンをうつ、広告を掲載する、メディア等で関連記事を配信し続ける…。いろんな方法がありますが、畢竟、「気持ち」という問題なので、なかなか「直結」するような方法はありません。

日本経済新聞2012.2.11ボランティア不足


 あくせす・ぽいんとのメンバーとしては、教育という「場」において、機会を見ながら、東北被災地の現状について情報発信し続けていきます。また、学生ボランティアの皆さんの意識も高いので、Social Networking Servicesを活用した情報提供をしてもらいます(現在もしてもらっていますが…(^_^;)。)。

 2012.2.10に発足した復興庁が10年間限定で設置されました。強力な権限が与えられており、省庁横断的にリーダーシップを発揮していただける旨の報道もありますので、ぜひ、あくせす・ぽいんとも草の根運動団体として(^_^;)、期待したいと思います。

 また別件ですが、学生ボランティアメンバーの方がカンボジアへ研修に行かれるそうです。また別のメンバーの方は岩手へボランティアへ行く予定をたてています。戻ってきたら、講演してもらいたいなぁ。

支援者様からの寄贈本8

 支援者様からの寄贈本の報告です\(^o^)/。すでに「プロジェクト支援者一覧」にはお名前を表記させていただいておりますが、改めて写真付きでブログにも投稿させて頂きました。岩貞るみこ様による「青い鳥文庫」シリーズ、豊栄運輸㈱様からの数多くのハードカバー・文庫本…です。新刊本も多く、「贈る本」としては嬉しい限りです。本当にありがとうございました。

Iwasaki_Rumiko_books_1
Iwasaki_Rumiko_books_2
Houei_Unyu_Books

☆彡
 あと、別件ですが、いつもお手伝いいただいてる学生ボランティアさんが、これから本格的に始まる春期休暇を利用して、「カンボジア」へボランティア関連の視察にいったり、また、岩手へ実際にボランティア活動をするなどの報告を受けました。それぞれのメンバーが、新たな意識を持って、社会貢献のための「自分磨き」を自主的に行い始めたこと、本当に素晴らしいことだと感嘆します。最近の学生は「覇気がない」「指示待ちである」「積極性がない」と言われがちですが、あくせす・ぽいんとに参加してくれている学生さんを見ている限りでは、全くそうではありません。「心優しき自立した大人」です…。( ´∀`)bグッ!
☆彡

学習支援する人々

 教育を受ける権利は誰にでもありますが、経済的な問題や生活環境の問題など、様々な事情で教育が受けられない、また、受けることができていても「生活優先」のために学習が遅れていってしまう多くの子供たちがいます。世の中には、そんな子供たちを支援している人々がたくさんいるわけですが、先日、生活保護世帯のこどもを対象にした学習支援プロジェクトについて記事が掲載されていました。教員のOBや大学生のボランティアさんたちが、定期的に学習のサポートしているというものです(日本経済新聞1月31日朝刊)。
 少子高齢化社会が更に加速すると言われいている日本社会ですが、青年層から老年層までの人々が協力しあって、未来を作っていく世代を大切に育んでいく…。そんな活動が現実として目の当たりにできていることを知ると、なんだかホッとした気分になります。(^O^)。世代を超えて、それぞれの役割を出来る範囲で取り組むことで(目標は同一です)、大きな教育力としていく…。教育のあり方の理想ですよね。

Daily_life_protection_Support_1

 いうまでもなく、障がいのある子供たちの支援についても歴史があります。「児童デイサービス」という仕事やその受入施設も各地にありますし、また「障害のあるこどもの放課後保障全国連絡会(全国放課後連)」という運動があって、それぞれの関連施設等がその中で活動しています。(人´∀`).☆.。.:*・゚

Daily_life_protection_Support_2

 あくせす・ぽいんとでは、次のプロジェクトの1つとして「(仮)寺子屋支援プロジェクト」を考えています。必要とする組織等からの要請を受け、ボラティアに登録されている学生さんを、学習支援サポーターとして紹介する…、そんな構想です。いろいろな規制や問題点が明確になり、失敗するかもしれませんが(^_^;)、未来の子どもたちのために、一生懸命、検討したいと思います。拝
・:*:・(*´∀`*)・:*:・