「世界を変えた書物」展(後)

 「世界を変えた書物」展は、科学史を著名な初版本でたどり、その世界観を見つめ直す企画であること、前回触れたところですが、具体的には、アルキメデスの『四角形、円の求積法』(1503年)、コペルニクスの『天球の回転について』(1543年)、ダーウィンの『種の起源』(1859年)、デカルトの『方法序説』(1637年)などが展示されていましたφ(・・。)ゞ 。

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(引用:読売新聞. 初版本でたどる科学史:「世界を変えた書物」展(大阪展), p.34「特別面」)


 数学、哲学、近代科学…と、人類の「知」がどのように受け継がれてきたのか、それら研究対象の変化と拡がりを、初版本というメディアを通して知られる「知の財産」は、「図書館」があったからこそ可能になったんだと思います。改めて図書館の意義を再認識できました。近年、様々メディアが登場し、Twitterのつぶやきですら米国議会図書館が保存していくという潮流の中で、そして「資料の価値論 VS 読書の要求論」という永遠のテーマの中で、何を収集・保存すべきか、ライブラリアンの専門性が問われ続けなければならいないこと、思い出したような感じでした…σ(^_^;)…。

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「世界を変えた書物」展(前)

 201511月13日に「世界を変えた書物」展に行ってきました。場所は、グランフロント大阪北館ナレッジキャピタルイベントラボ。主催は、金沢工業大学と読売新聞社、そしてナレッジキャピタルで、「書物×科学史×デザイン空間」を描くイベントですが、近年、最も感動的な企画展でした。普段は見ることのできない「超有名な」科学者のコペルニクスやニュートン、ガリレオ、アインシュタイン、マクスウェルたちの数々の資料が、大きな歴史の文脈に並べられていて、科学史の初学者から専門家まで本当に楽しめる内容だったと思います。
 全体としての構成は、「知の壁」「知の森」という2つの大きなテーマで区切られ、「地の壁」では、「中世のグーテンベルクの印刷機の発明から厳談までの大まかな歴史」を、アインシュタインの自筆研究ノートを飾るなどして構成し、また、「知の変容」エリアでは、著名な科学者の代表的な書物、例えば、ガリレオ・ガリレイの『星界の報告』、アイザック・ニュートンの『自然哲学の数学的原理(プリンキピア)』などを、時系列的に並べて、知的な刺激をもたらしてくれます。それもまた、全てフリー(無料)で企画者の懐の大きさを感じざるを得ません。(*´∇`*)。

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 館内は、こんな様子です。=´`=

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 今回の経験を通して感じたことは、全国の公共図書館・大学図書館等が所蔵している数多の稀覯書を今回の企画展のごとくプレゼンテーションできれば、図書館の社会的認知もさらに高まるのではないか、という認識でした。図書館内での個別企画としては、全国どこの図書館でも多くなされていますが、いかんせんこぢんまりとしていて(すいません、個人的な感想です…<(_ _)>)、近隣の住民ですら知らなかったということが頻繁にあるように思います。昨今、「広域利用」として、近隣の市町村が協同し、利用者の図書館利用の幅を拡げる試みがありますが、このような企画展もまた同様になされることを節に願ってしまいました(拝)。