心のケアと学びの支援

 あくせす・ぽいんとのプロジェクトは、3本柱です(まだ準備段階のものありますが…(^_^;))。(1)本の寄贈、(2)英語での本の読み聞かせ、(3)子どもたちの学習支援です。この中で、子どもたちの学習支援は、3.11東日本大震災以降、かなり注目されていて、いろんな場所で展開されています。次元の学習塾の格子が無償で行ったり、次の新聞記事にあるような大学生の派遣による支援など、形態は多様ですが、環境変化による学習の遅れを防ぐため、積極的に取り組まれているようです。同時に、心の支援ということで、PTSDに対処すべく、プロボノと呼ばれる人たちも、子どもたちに深く関与しています。
(≧ο≦)人(≧V≦)ノ。

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 いずれも中長期的な視点にたっての支援となるため、にわかな個人的な思いつきのみではできない支援ですよね。行政も含めた確固たる「組織」が展開すべき活動ですので、資金力と組織力がある活動団体が頑張ってくれることを期待しています(他人任せの言い方で恐縮です)。
 ところで、貧困率って御存知ですか? 
Wikipediaでは、1日の所得が1米ドル以下に満たない国民の割合の事を「絶対的貧困率」、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)が全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない国民の割合の事を「相対的貧困率」として紹介しています。
 厚生労働省の「国民生活基本調査」によると、2012年現在で公表されている内容としては、以下のとおりで、家族形態によりますが、概して、年収112万円以下が貧困層と言われています。

厚生労働省:平成22年国民生活基本調査概況:7章:貧困率の状況)【平成21年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 112万円(実質値)となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は 16.0%となっている。また、「子どもの貧困率」(17歳以下)は 15.7%となっている。「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員についてみると、14.6%となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では 50.8%、「大人が二人以上」の世帯員では 12.7%となっている。】
 ここで確認をしておきたいのは、先進国である日本においても、15.7%の子どもが貧困にあえいでいる現状です。一般的に家庭における経済環境が適当でない子どもたちは、勉強について行けない場合が多いようで、『子供の貧困白書』(子供の貧困白書編集委員会編.2009)においても以下のように指摘されています。
「子どもにとって、貧困な状況を生きるということは、単にモノやカネがないという物質的・経済的剥奪を意味するだけはでなく、その「壁」にブロックされることによって、多種多様な人間関係や機関や活動とのつながりから疎外される関係的・社会的剥奪を意味している。そうした物質的・経済的剥奪と関係的・社会的剥奪の相互連関は、本来そおの子どもが形成しうるはずの基本的信頼や自尊感情あるいは知識技能や学歴資格等を奪う実存的・自己形成的剥奪をもたらし、それが新たな「壁」になることによって子どもたちはさらなる関係や場の参加から疎外されることになる。」(p.15)
 機会の剥奪が「連鎖」していくことを考えれば、この15.7%という数字は、非常に深刻な数値として考えなければならないでしょう。世代間連鎖を考えれば、将来的に急増する可能性があるからです。
 あくせす・ぽいんとは、社会教育機関としての図書館を支援する立場から、そのような子どもたちの状況を見て見ぬふりをすることはできません。あくせす・ぽいんとの(3)の学習支援プロジェクトは、そんな思いから生まれました。上から目線で恐縮ですが、希望ある未来をもちたい子どもたちが、経済原理によって、学習の意欲が削がれ、機会すら与えられなくなってしまうというのは、大人の側が責任だと思っています。

 あくせす・ぽいんとの学習支援のプロジェクトは、他の類似の学習支援と異なって、図書館が前提にあります。あくせす・ぽいんとへの依頼主体は図書館であり、図書館の指示にしたっがって活動することに特徴があるのです。逆説的に言えば、社会的教育機関たらしめる図書館は、子どもの学習支援を積極的に取り組まなければならないことを促しているとも言えます。これまでの図書館は、図書を中心にした資料群・情報源を適切に管理し、必要なときに提供するというのが仕事の中心であったわけですが、これからは民間ではできない部分をライブラリアンとして実行できるかどうかが社会的要請だからです。特に、少なくとも、教育という文脈で、図書館が果たすべき役割とは何かについて、再検討すべき時期に来ていると思います。

 また、別の話題ですが、あくせす・ぽいんとが支援対象としてきた学校図書館の現状について、先日(2012.5.15:中日新聞朝刊)、新聞記事を見かけました。愛知県安城市小池小学校図書室が、学校図書館(図書室)の拡張計画にともなって、保護者による読み聞かせボランティアとともに、本の分類や部屋の模様替え等を行ったというトピックです。児童の保護者と地域住民ら30人が協力して、絨毯張りのスペースで床に座りながら読書が楽しめる環境を整備したそうです。子どもたちも「毎日、図書室に来て、本を読むのが楽しい。」と…。(@^▽^@)ニコッ

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 ただ、この環境を作り上げるために、読み聞かせの保護者ボランティアに協力を求めたり、学校図書館(図書室)には専任のライブラリアン(司書)がいないかったり(小池小学校は全校児童458人)、本の整理等は教諭が手分けをして行なっていたりで、教育現場での学校図書館の位置づけが低いことが改めて明確になりました。被災地でない学校図書館でもこのような状況であるなら、被災地東北の学校図書館は、どういう状況なのでしょうか。おそらく…、予想はついていますが…(^_^;))。気がかりです。

 ともかく、図書館を支援する組織として、あくせす・ぽいんとは、支援者とともに持続的に頑張らせていただきたいと思っています。

。゚。*★ガ ン (o`・ω・)o バ レ★*。゚る♪