未来に向けて内省してみました。

 勝手ながらの主義主張ですが、あくまでも自戒のための言説です。
 あくせす・ぽいんとは、内省しながら、活動し続けます。拝

 振り返れば、被災直後、様々な図書館およびそれら関連組織において、被災地関連情報が収集され、公開されてきましたが、それらは既に新たな情報を発信するという役目ではなく、既に発信された情報を収集し分類していくという、議事録のような「記録」としての意味合いが強かったとように思います。(1)どこそこの図書館がどれだけの被害があったのか、(2)あのデータベースが一定期間無料で開放されている、(3)学術研究を滞らせないために、被災地の人々の図書館利用者として受け入れる…といった情報を集めて公開(発信)することがありましたが、それは、被災者一般の立場(研究者等の一部の人々にとっては有用であった支援ですが)にとっては、実生活から遠くにある支援に映りました(大学図書館や学術専門機関のお話なので、それはそうなのかもしれません)。
 現地のニーズが時間経過と共に変化していくことは周知の事実ですが、「図書館情報学的的支援」の基本は、「被災地の生活者が必要とするモノ・コトを収集・組織化・提供すること」です。特に、被災直後には、生活者の視点に立ち、どのような情報が必要なのかを分析し、推論し、そして、そこから生み出される仮説に従って、情報を収集・組織化・提供していく…。それが本質だと思います。
 しかしながら、あの東日本大震災直後においては、その役目は、現実、マスメディアであったり、専門機関(官公庁など)であったりして、図書館は取り組むことはありませんでした。(正確に言えば、実は、したくてもできなかった、というのがホンネだったかもしれません。知り合いのライブラリアンは、被災地と支援者との「橋渡し的な情報」を収集して提供したい、そんな気持ちを持っていましたし、どうすれば支援できるのか、悩み続けている姿も知っています。)
 おそらくその背景には、平常時の仕事の中に「生活者のための情報」という視点が十分でなかったからではないでしょうか。普段の仕事は、「図書」「読書」「教育」「文献」「史料」に関わる業務が中心であり、時々刻々と生み出されてくるリアルタイムの情報にはあまり関心が向いていません。本来、情報源と情報利用者とを結びつける機能を果たすのが図書館ですが、「橋渡し的な情報源」については、Googleの「Person Finder」が日本国の主力となりましたし、ニーズに関する迅速な情報交換については、Twitterを代表するソーシャルメディアがその任を負いました。結果、有事の際に、被災者自身が必要とする多くの情報を扱えなかったのです。
 図書館は「成長する有機体」です。理想論として切り捨てられればそれまでですが、やはり「いま、ここで」必要とされている物事は何なのか、そのニーズを掬い上げ、対応していくことが、ライブラリアンの専門性ではないでしょうか。特に、「Standing on the shoulder of Giants」という視点で、どの情報源を使えばよいのかという、「ああすれば、こうなる」「あれを使えば、これを知られる」的な情報源(Pathfinder(パスファインダー))を開発することが任務だと思います。SaveMLAKという名のもとに行われた活動は、ボランティアの積極的な取り組みによってなされた実験的な活動でしたが、まさしくそれは、「Pathfinder(パスファインダー)的」活動でした(ただ、必要な項目については随時追加・更新していくというWIKIの仕組みを取り入れたその発想は評価されるべきものでしたが(現在は、時間の経過に伴い、停滞中)、被災者一般の立場で活用したいと思わせる十分な内容であったかという点では、検討すべき余地があると思います)。
 関係者の方に対して尊敬申し上げます。( ≧▽≦)b Good Job!

 一方で、被災地において「教育支援」も重要でした。被災した教育現場において、平常時の教育環境を取り戻していくために、教員へのサポートや子どもたちのサポートが必要不可欠ですが、そのための支援として、塾講師経験者による寺子屋活動は、記憶に新しいと思います。子どもたちの学習に贈れが出ないようにするため、被災者でもあった塾講師が積極的に関与している姿は、本当に感動しました。全国の教師たちも、持ち回りではありながらも、被災地の教員と連携し、学校運営に取り組んできましたし、これからもそうだと思います。
 この文脈での図書館アクティビティについて、すぐに念頭に浮かぶのは、読書支援かもしれません。避難所における子どもたちに対する「読み聞かせ」や、日本図書館協会が行った「「Help-Toshokan」図書館支援隊」というのがその例でしょう。
 この活動で最も大切なのは、サステナビリティ、つまり定期的に続けていくということですが、知る限りでは、ほとんど単発・短命に終わってしまっています。「持続自体が大変なんですよ〜、やれていない人が口を挟まないで…。」と、お叱りの声が聞こえてきますが…(^_^;)、被災地において読書活動の意味が大きいと信じるのであれば、また、「教育の現場」で読書活動が大切だと考えるならば、早急に、有事の際の図書館ネットワークのあり方を検討し、どのように読書支援活動できるのか、指針を作ることが必要だと思います。
 そして、その前提として、(1)被災直後からこの1年の間に、いつ、どれだけの「図書館サービス」がもとめられたのかを調査し、図書館内で、図書館が行うべき活動を再検討することをしていただきたいと思います。「結局、図書館ってここまでだよね〜。」と言われないように、兜の緒を締める必要があると思うのです。(…続く)

追伸:米国の大手出版社であるランダムハウスが電子書籍の値段を図書館に対してのみ値段を3倍に設定。
Σ(゚Д゚)ガーン。

Random_House_e-price

 米国では、案外、教育現場=学校図書館にもe-Bookは多く導入されているでしょうから、影響は「大」。今後、日本も直面する課題かもしれません。